不惑で候

40代男子()の不惑とは程遠い日常

イチロー

イチローが引退した。

 

まっさきに思い浮かんだのは、浪人生の頃に好きだったともみちゃん。

地元の大学の薬学部を目指していたおとなしい子。

もう20年以上前の話。

 

初めてのデート。

どこに行ったのか今となってはよく覚えてないけど、帰り際に駅前のベンチに座って話をしたことははっきりと覚えている。

 

彼女は無口だった。そしてすぐに赤面する子だった。

沈黙が怖くて、一人でぺらぺらしゃべる当時の自分。

 

「どんなタイプの男性が好き?」

 

ああ…なんて気の利かない、絶望的につまらない質問。

 

そこで彼女が少し頬を赤らめて口にした名前が「イチロー」。

 

ジャニーズでも俳優でも歌手でもなく、イチロー

しかも別に野球が好きというわけでもない。

ルールを知っているかさえ怪しい。

 

当時のイチローはまだメジャーに行く前。

その時点でも日本で何年か連続して首位打者を取っていたけれど、その後のメジャーでの大活躍はご存じの通り。

 

なぜともみちゃんはイチローが好きだったのだろう。

きっとあの寡黙な感じ、コツコツ努力を重ねる感じが好きだったのだろうな。

女性は支えてあげたくなるに違いない。

 

僕とともみちゃんが付き合うことは結局なかった。

仕方ない。彼女は寡黙な努力家が好きだったのだ。

 

イチローの引退会見を見て、そんなことを思い出した。

 

ちくしょー。

イチローはずっと、かっこいいな。